【注意】
※ネタバレありのアニメレビューです。かなり辛い内容になっているので、この作品が好きな人や否定的な文章が嫌いな人はこの先読まないで下さい。
【機動戦士ガンダム 水星の魔女】第一話
作画☆☆☆☆ キャラ☆☆ 脚本☆☆ 構成☆☆ 音楽☆☆☆☆
総合58点
はじめに
前記事でプロローグは史上最高だと、始まるのが楽しみで仕方ない。と。
書いていましたが、現状では完全に裏切られました。
結論を先にまとめると
企業によって製作陣が振り回された結果
これって多様性でしょ?と押し付けがましい迷作。
これは一話を見た感想です。
今後良い方向へ変わることを願いたいですが、恐らく脚本上変わることはないと思います。
この第一話の悪い所は、主に特定のグループやどちらか片方に配慮された、中立的な表現の取り入れ方。実質的には均等化では無く、一方の排斥が主な目的となってしまっている活動による影響。いわゆるポリコレ的要素ですね。
最近の創作物によく触れている方はうっすら勘付いているかもしれませんが、
男性=男性性。というものを悪とし、それを基準として物語が作られています。
グエルというピエロ
性格に難があるキャラとして登場したグエル。
ミオリネという今作のヒロイン枠のキャラを、自分の許嫁だと言い、無理やり迫り、その後ミオリネの農園で物を壊したり、罵り、挙句のはてに手をあげようとした所スレッタに止められ、結果決闘になります。
農場=家庭
罵り=モラハラ
許嫁=所有物
暴力=DV
つまり家庭内での男性、もしくは社会における男性という性の一側面から見た悪い部分を過剰にクローズアップし、演出に使っています。
そして・・・
田舎者でか弱いスレッタという女の子が、心の醜い強者男性に打ち勝つ
ここで完全に私は確信しました。
この物語は男性やその性が創り出した社会に対するアンチテーゼで、現代に即したつもりの安いボーイミーツガールならぬ、ガールミーツガールだと。
もちろん性の多様性に関しては何も言うことはありませんし、自由です。
ガールがボーイでボーイがガールだということもあり得ることは重々承知です。
もちろんその間やノンバイナリーも。
私自身はストレートですが、友人に【いわゆる】マイノリティも少なからずいます。
カテゴライズ自体は関わっていると正直どうでも良いのです。
そこで、思うのです。
こういうのって男性差別じゃないの?
私にはわざわざここまで、男性の悪い部分をクローズアップし、【ピエロ】にしなくてもグエルのキャラは成立すると思います。
具体的には
グエルが親と意見が合わず、悩む描写を挟む
許嫁というものが、グエル自体も押し付けがましいと心の隅で思っている
社会的責任や制約に縛られている
男性という役割自体に苦しめられており、その反動で攻撃的になっている
あくまで例ですが、このような描写がワンシーンでもあれば、グエルに対する印象は大きく変わり、仮に暴力を振るいそうになった時も、グエルだめだ!
と視聴者は少し寄り添って見ることが出来ますし、スレッタの行いが間違いを改める意味合いも持ち、さらに際立ちます。
演出の上でもグエルは【ピエロ】として描かれず、奥行きのある悪役キャラになったでしょう。
戦略としての多様性
ではなぜこの製作陣、しかも一流のクリエイター達はそれをしなかったか?
冒頭でも書いた通り、あくまで個人の予想、想像でしか無いのですが、企業側の戦略が大きく関わっているのだと思います。
物語を複雑にせず、世界各国、誰が見ても【悪い男】がやっつけられたと理解できる作品、第一話にする。
それが現代に即したガンダムであり企業姿勢だと。
今後IPを国内外に展開する中で、それを大きく喧伝したいという思惑があったのでしょう。
そしてオーダーされた製作陣は、多様性ってこんな感じかな?このへん?と思って作り、過剰になったり、よくわからない状態になる。
この流れは他の作品やゲーム業界で散々見ました。もううんざりです。
本当の平等であれば、ガンダム自体がこの世に不要だと思います。
争い自体を無くすことを目的にすべきですよね?
バ〇〇イさん、日が昇る会社さん、そう思いませんか?
なくしましょう、ガンダムを。そして人間同士のヒューマンドラマをやりましょう。
ガンプラだって、争いを示唆するようなおもちゃですよ?
目指すべき多様性社会において、不要ではありませんか?
それってただの多様性の営利利用ではありませんか?
※ガンプラやコンテンツ自体を否定する意図はございません。
スレッタの吃音
個人的に気になった点といいますか、ある要素において製作陣に対してさらに不信感を抱く部分があります。
それはスレッタの吃音(どもり、繰り返し)表現です。
はっきり言ってキャラ付けにしては過剰です。
それっぽい表現ではなく、そのものです。
多様性の尊重という部分に、このような特徴も含めているつもりなのかと。
ハンディを持った人でも主人公になれるとでも言いたいのでしょうか。
私には不快でした。
吃音自体に対しては特別な感情はありませんし、貶すつもりもありません。
そういうキャラが出てくることに対しても何も不満はありません。
表面的にそれっぽいものをアニメとして世の中に出し、何も説明もなく、
あくまで多様性の尊重を演出するための道具として使っている所に腹が立つのです。
やるなら徹底的に、症状に向き合ったり、前後関係を描いて欲しいと思います。
自社でアンケートを取って、当事者たちとディスカッションして作品作りをするスタジオもある中で、このような表面的な多様性への配慮は受け入れることが出来ません。
ガンダム操縦による後遺症や水星環境による影響の可能性もありますが、現段階ではストーリーにも大きく関わりがない為、主人公が吃音である必然性がありません。
そうであったとしても、一話目にきちんと示唆するべき内容だと私は思います。
tiktokで問題になっていましたが、吃音の有名人がバズった際、それを真似した小学生や中学生が、癖になり吃音になってしまうという事態が起きました。
これらは前後関係も知らずに、なんとなく面白い、個性だよね。
と消費されることによって引き起こされた例です。
多数の幅広い年齢の人に見られるアニメ作品で、主人公にそのような特徴付けをするのであればそこには責任が生まれることも理解すべきです。
まぁ次回ではしれっと治ってる可能性もありますが・・・。
まとめ
以上が今回の感想です。
今後続きを見ることは正直悩んでいます。
私にとってはプロローグ時点では本当に素晴らしい作品でした。
主題歌もサブスクでダウンロードもしていました。
それゆえに残念で仕方ありません。