
NEO iDSD3におけるK2テクノロジーについて考えてみた
さて、NEO iDSD3の目玉機能K2/K2HDについて。
このK2テクノロジー自体はいわゆるアプコン系として語られ、JVCケンウッドも広い意味ではデジタル化の際に損失した倍音を復元しアップサンプリングする技術として紹介してます。
ただ、本機においては少しだけ扱いが変わっており、
・K2=音質復元(44.1〜96kHzサンプリングレートまでの)
・K2HD(GTO)=音質復元&最大192KHzのアップサンプリング
というのがざっくりとした分け方。
細かい部分では、K2適用時に96kHzを超えると自動的にK2HD(GTO)が適用され、96kHz以下になるとK2に戻る。そして、192kHzを超えるとビットパーフェクトに切り替わりK2HDは無効化されます。
ここでGTO?と思った方もいると思います。
このGTOとはギブズ・トランジェント・オプティマイズド、iFi Audio謹製のアップサンプリング技術。(本機では352KHzまでアップサンプリング)
なんでくっついているのかというと、挙動と公式の説明から推測するに、GTOがアップサンプリングを担当しそこにK2テクノロジーが乗っかっている。
要は合わせ技ということらしい。
出典:iFi audio NEO iDSD3 説明書→https://ifiaudio.jp/wp-content/uploads/2026/04/NEO-iDSD-3_JPN_02.pdf
PDF内参考引用 6P:「K2HD」モードでは、GTOデジタルフィルターによるアップサンプリングが使用されます。(原文そのまま)
実際、K2HDを選択すると自動的にGTOが適用され、このGTO適用以外ではK2HDは選択出来ません。逆にK2はGTO以外の他フィルターと流動的に選択が可能で、あくまでK2は音質復元を担当してるということになります。
つまり本機のK2HDは一般的に語られるJVCケンウッド単体テクノロジーとして考えると若干のズレを起こす可能性があるということ。
まず最初にK2HDをオンにした時、一般的なアップサンプリング技術と比較して感じたことは「リズムの違い」でした。
高域が強化されボーカルの表現力も自然に向上、生録のように聴こえることは確かなのですが、どうも裏拍取りたくなるといいますか、リズムが腰にくる雰囲気を纏うといいますか。
気になったので、GTOに関して公式がマジレスしてたスレッドと、そこに投稿されたテックノートを読み漁った所、どうやらGTOの本質は「立ち上がり」と「余韻」の扱いにあることがわかりました。
とあるスレッドでのマジレス騒動。
ユーザー:アップサンプリング高域歪んでるよ、計測ソース付きな。これはダメな機能だね。
iFi audio:PDF(テックノート)どうぞ!ただのアップサンプリングじゃないし、それ以外の音楽的要素にも寄与してる技術なんだよ!あと、気に入らないならオフにしてくださいね!
内容をレスバ風にデフォルメして要約すると概ねこんな感じ。
正確にテックノートを読み解くと、「プリリンギングを避ける」「ポストリンギングを短く収める」、そしてなぜそこが重要か、人間の可聴域と音のタイミング(時間軸)の感じ方について、デジタル感の正体とは?をこんこんと説明しています。
出典:iFi audio GTO filter Tech Note PDF→https://downloads.ifi-audio.com/wp-content/uploads/2019/04/iFi-audio-Tech-Note-The-GTO-Filter.pdf
このプリリンギング、ポストリンギングは雑に訳すと立ち上がり前の無駄な波形と無駄な余韻の波形。ここが、さっき書いた「立ち上がり」と「余韻」に繋がってくるわけですね。
アップサンプリングやデジタルフィルター適用下であっても、無駄を省き、自然に人間の耳に聞こえるようにして、音楽的には立ち上がりを良くし、気持ちの良い余韻を残す。そして、デジタルっぽさを減らす。
これがGTOのアップサンプリングだけではない、本質的な理解になると思います。
表記上のK2HD(GTO)。
この(GTO)の意味もそこにあって、音質復元とアップサンプリングを複合で行いながら、iFi audioの理想とする音を実現する。
両社の思想が上手く重なった技術であり、タダ乗りしているわけじゃないということ。
職人技に支えられて、膨大なデータを元に積み重ねられたK2テクノロジーのノウハウが、iFi audioの足りないところを補いつつ、思想的にも共鳴するものがあったからお互い納得の上で搭載に至ったのではないでしょうか。
※補足
楽器ごと歌唱ごとにエンジニアが個別にパートごとにアップサンプリングをかけて時間軸まで整えるのがK2HDのマスタリング技術。広く一般向けにリリースされている技術はそれらを汎用として調整しているので別物。全て総称でK2テクノロジーになるのでややこしい。
音楽にソウルを取り戻す
私はこの機能は「音楽にソウルを取り戻すフィルター」だと思っています。
確かに、楽曲によっては効果があまり感じられないものもありますが、たとえば打ち込みのアニソンでも、60年代のジャズでも、今真新しくリマスタリングされたかのように新鮮味を感じることが出来ます。
「プレパラート」や「Daydream café」にグルーヴを感じたのは初めてですし、フランク・シナトラとカウント・ベイシーの「Fly Me To The Moon」を聴いて、あれ?リマスター?昨日収録されました??みたいな感情になることも。
すべてCD音源からのアップサンプリングなので、その効果はより大きく感じます。今のサブスク時代で気軽にこの音が聴けるなら文句の付けようが無いですね。
デメリットとしては、この機能を使うと曲によっては余計に刺さったり、高域のディティールが強化されるのでそれなりに聴き疲れします。
常用は難しいですが、そこはiFi audioが言っているとおり「無理にオンにする必要はない」これですね。
私も素晴らしい機能だと思う反面、ピーキーすぎるので普段はオフ。
とはいえ、この選択肢があるだけで「どの曲に使おうかな」と退屈しそうにないので、音楽を聴く楽しみが一つ増えて儲けものな機能です。
※実機レビューでも説明していますが、長くなってしまったので短縮しています、本記事の文章は短縮前の文章です。
【関連記事】