そば屋に行きたくて腕時計を買った話

私はそば屋が好き、特に五反田や品川駅周辺にあるような、芋洗い的に客がぐるぐる回ってる系じゃなくて、ひっそりと老夫婦か二代目がやっている静かなそば屋が好き。

 

ある日、取引先の目上のお姉さまと付き合いでそば屋に行きました。

閑静な住宅街にポツンとあるのですが、薄暗い店内にぞろぞろと人が吸い込まれていき、年齢層が高め。

 

お姉さまはそれなりに年を召されているので、浮きませんが、まぁ私の浮いてること。

アップルウォッチにべっこうフレームの眼鏡、Tシャツにクライミングパンツ、さらにスニーカー。もう「子供じゃん・・・」。その時に思ったのが、それなりに良いお店なり、静かなお店に行くにはその場に溶け込むような格好が必要ということ。

 

私だけならまだしも、誰かと食事するならば身なりも考えないとな、としみじみ反省したわけです。

そこから、眼鏡をシックに変え、上下を揃え、バッグを買い、装備が整いましたが鏡を見ても何か足りない、フックアイテムは何かと考えた所。腕時計だ!と結論に至りました。

 

整った格好にアップルウォッチもある意味、ドレスコード的な要素もありますが、私の場合「なんかいい感じのそば屋に行きたい」これですから。

熟考を重ね購入したのがセイコーの黒文字盤のシンプルな時計。革ベルトに交換して装着すると、なかなかに渋い。

 

鏡で全身を確認し、蝉が鳴き続ける中そば屋へ直行。入店し周りを確認し、馴染めてるという確信を得た私は得意げな気分でそばをすすります。

ただ、その後スーツの集団が来店した時にまた浮いてるような気がしてきて。ある不都合な真実に気づいたのです。

 

そもそもこの時間帯に私服でそば食いに来てる私が浮いてるのでは?

 

最強のそば屋へ行く装備とは、肩書なり一般的な社会人としての姿だったというわけ。そちらは在宅で働いてる身としてはなかなかに難しい。

というわけで、今日も私はセイコーの時計を家に置いて手ぶらかつ、短パンでそば屋へ向かうのでした。